『法治国家における最低限のモラルさえない本』
「破産」によって、借金を逃れるということに関わっている弁護士として、「本来借りたものは返す」という最低限のルールの例外であり、免責の審査基準が緩んでいるとはいえ、破産という方法が安易な借金をし、安易な帳消しを認めることには、やはり、そこに専門家のカウンセリングや破産後の生活設計、法律に現れない不利益などをきちっと説明しなければ、「安易な借金」という社会的な病気は完治しないであろう。
この種の本はあまたあるが、あまりに安易に「借金は踏み倒せる」と謳うことで、その後の悲惨な人生を示さないことに問題がある。
例えば、免責後、「低利で融資します」という誘いがある。弁護士が関与していれば、この種の誘いに乗ってはいけないことを説明できる。しかし、この種マニュアル本では目先の苦痛を逃れるための方策しか示していないから7年間再度の免責は得られないという最重要課題に対するケアが「すっぽり抜けている」。
弁護士の費用がなくても、現時点で、「法律扶助協会」が破産費用の立替と弁護士を雇ってくれ、専門家のカウンセリングを受けながら経済的更生を図ることが出来る。こんな本一冊読んで、人生の一大事に当たるとしたら、無責任極まりない「とんでも本」である。
最寄の弁護士会の「法律扶助協会」にご相談されることをお奨めします。このような本の跳梁跋扈は中長期の日本の社会の破壊の原泉になる。許せない本である。